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Showcase Vol.2 Stockholm × Tokyo × Object ~作曲家座談会 2


・  Curiousについて 


森:で、さっきちょっとダルムシュタットなどの話をされかけたじゃないですか?それについて伺いたいんですが、その前に宗像さんのアンサンブル、Curious Chamber Players についてお話を聞けたらと思うんです。


宗像:ええ。


森:僕は以前ダルムシュタットで、それから日本公演でも聴きましたし、ウェブサイトの音源等も色々とチェックしてはいるんですが、アンサンブルの来歴というか、ウェブサイトに載っている以上の情報はわからないので、ざっくり、どういう感じで始まって、どういう経緯を辿って今どんな感じかというお話を伺えますか?


宗像:うーんとね、2003年にできたんですけど、僕と、マーリン(Malin Bång、スウェーデン人作曲家、Curious Chamber Playersの共同創設者で宗像さんの奥さん)と、その時のパーカッショニストで、Martin Strandという人がいたんです。学生終わった直後で、僕何もやることがなかったんですよ、仕事もなくって。で、なんかやろうよって言って、無理に友達集めて、パーティーだよって言ってうちに呼んだんです。そしてみんな集まったんだけど、お菓子とかケーキとか食べる前に、「ちょっと話がある」って言って、ミーティング始めて。


渡辺・森:騙された笑。


宗像:結局ミーティングが長く続いちゃって、みんな「もう帰るね」って言って、何も食べずに帰っちゃったんですけど笑。


森:みんな大学の同僚だったんですか?


宗像:大体みんなそうでした。楽器編成的にもクレイジーで、ハープとかチェンバロとかいましたし、ヴァイオリニストが3人とか。シンガーもいたし、もうなんでもって感じで。最初はアンサンブルというよりはクラブのような感じでしたね。

で、最初の7年くらいは、一回一回コンサートやるときも全くお金なしでやったんです、ボランティア活動。


森:友達だから成立したって感じですね。


宗像:そういうメンバーもいたけど、なんというか、普通はプログラムを先に決めて、それでミュージシャンを呼びますよね。それの逆をやったんです。「誰が参加できますかー?」とか言って。


森:うん。


宗像:「はい、私できます。私できません」って言って。で、集まった人たちでなんの曲をやるかって。それに、リハーサルもあまりできないから、「君、なんの曲やる?あーわかったはい、じゃあ君は?」とか言って、曲目ももうめちゃくちゃで笑。


渡辺:笑


宗像:でもそれやると時たまね、ものすごく短いプログラムになったり、ものすごく長いプログラムになったりとか笑。


森:面白いですね。プログラムが決まるプロセス自体も自発的(spontaneous)というか。


宗像:そう。面白かったですね、その時は。あるコンサートによっては、ネオ・ロマンティックからケージかなんかが出てきて、誰かがファーニホウ吹いてとか。そんな感じでしたね。すごい変なプログラムになって笑。


森:ある種の即興的な、予測できない、蓋を開けてみないとどういうコンサートになるかわからない笑。


宗像:そうそう。


森:ちなみにその演奏家の人たちって、アンサンブルの正式メンバー的な感じだったんですか?それともエキストラ的な感じだったんでしょうか。というのも、彼らはどういう関わり方をしてたのかなと思って。


宗像:どこで線を引いたのかな笑。うーんよく覚えていないな。一応ね、どこかの機会でメンバーにならないかとか聞いたんだと思いますよ。リストはバーっとあったんですけど、ゴーストメンバーとかもいましたからね。


宗像:そういう感じのことを、多分7、8年くらい、すごくドメスティックな形でやってました。その後、ノルディック・ツアーのようなことをやって、なんとなく海外に行くようになったんですよね。ドイツに行ったり、デンマークに行ったり。


森:それは呼んでもらえるようになったんですか?売り込むというよりは?


宗像:そうそうそう。


森:じゃあ国内でやってるうちに繋がりができて、徐々に海外からのオファーも来るようになったと。


宗像:そうですね。それで本当にアンサンブルっぽくなってきたっていうのは、ダルムシュタットを経てですね、やっぱり。


森:ダルムシュタットは何年と何年に出てるんでしたっけ?


宗像:えっとね、2012年と2014年。


森:じゃあ、2003年結成ってことは、9年から10年くらいかけて、アンサンブルとして形になったと。


宗像:そうですね。いや、かなり遅いですけどね。


森:いやでも、すごーく面白いですけどね、パーティーやるよって言って集めたって言ったじゃないですか。

特に最初の数年間というのは本当、持ち寄りパーティーのような感じで、めっちゃ楽しそうです、話聞いてると。


宗像:いや、本当にそうです。ある意味では、あの時が一番楽しかったかもしれない。


森:かなり理想的ですよ。それでやってたらいつの間にか海外から呼ばれるようになって仕事になってたという。


宗像:そうですね。


森:僕が興味あったのは、今、ヨーロッパでは若いアンサンブルっていっぱいあるじゃないですか。でも2003年ごろって多分そんなになかったんじゃないかと。


宗像:そんなになかったですね。


森:ですよね、きっと。そういうアンサンブルをやりたいっていうのは、時間もあったし、みたいな感じだったんですか?何か考えとか目標とかそういったものはあったんでしょうか?


宗像:あ、目標はね、今のCuriousのメンバーにそういう考えはないと思うんですけど、その最初のパーティーで話した内容はですね、「楽しむこと」笑。面白くなかったらやんなくていいという。それが第一の目標でしたね。


森:ふんふんふん。


宗像:それで第二の目標は、自分の音楽性を磨くみたいな。自分の上達のため。だからその時点では、アンサンブルを持続させて末長くやるとか、海外に行ってコンサートをやるみたいな目標は全然なかったです。プログラムにしても、現代音楽と呼べるものだったら何でもみたいな笑。今では考えられないですけど。


森:ミュージカルみたいなものも?


宗像:ありましたねえ。ネオ・ロマンティックみたいなのもかなりありましたし、ポップっぽいのもかなりありました。


森:今でこそ、作曲家がアンサンブルを作ってやるっていうのは、特にヨーロッパでは一般的になっていると思うんですけど、そんなにまだ盛んじゃない時代に自発的な形でスタートして今まで続いているというのがすごく面白いですね。


宗像:作曲家ってやることないんですね、もしくは自分の曲を演奏してもらいたいがために笑。


森:笑


森:裕紀ちゃんはちなみにこのCuriousの来歴は知ってたんですか?


渡辺:えーっと、ファンなんですよ、私。


宗像:えーーっ笑。


一同:笑


渡辺:てか、礼さんとマーリンのファンなんで、何となくは分かってる感じなんですけれども。でも私が知っているCuriousはすでにすごい出来上がってたから、一人一人の演奏家もすごい立ってたし。テクニックもあって、経験もあってみたいな。でも礼さんが昔おっしゃってたかもしれないけど、コンテンポラリーがすごく上手っていうことよりも、やる気がある方が大事みたいな。


宗像:うんうんうん。


渡辺:そんな話をしてたから、最初に始めた時にはそんなに現代音楽に特化して、技術が高いっていうんじゃなかったんじゃないかなという。それがなんか、特殊。


宗像:そう、全然なかった。最初は楽器が全然弾けない人もいたから笑


渡辺・森:笑


渡辺:そこが、ちょっと違うと思いました。他のアンサンブルと。


宗像:そうね、Curiousは今でも、ある意味現代音楽に特化してないような人何人かいるよ。全員が全員じゃないかな、Curiousでソロ的にガーッとやる人。


渡辺:うんうん。


宗像:でも、仲の良い友達に頼むっていうのは昔のようにやってるというか。


森:今のメンバーも、オーディションとかしたわけでもなく、いつの間にかって感じなんですか?


宗像:いや、昔はやってくれるなら誰でもいいみたいな感じだったんですけど、最近はオーディションこそしないものの、ニューメンバー選ぶときは悩みますね、結構。例えば一番最近入ってもらったのは、ヴァイオリンの人で、Sofie Thorsbro Dan 。デンマークのヴァイオリニストなんですけど。どうしようかなってかなり悩みましたね。また外国人かと。


渡辺:あ、外国人ということで。


宗像:デンマーク人なんで。


森:外国人が多いんですか?


宗像:多いですね。外国人か、外国に住んでいるスウェーデン人。だから大変なんですよ。


森:あ、コンサートやりづらいんだ。


宗像:やりづらい、すごくやりづらい。特にこのコロナ禍ではみんな集められないんで。メンバーが住んでるのが、ベルギー、スイス、デンマーク。スウェーデンでもストックホルムとヨーテボリ、スンツヴァルとかかなり遠いんで。一大事です笑。


森:ちなみにメンバー選考の基準というか、そもそも今回ヴァイオリンの人を新しく入れようと思ったのはどういう理由だったんでしょうか?ヴァイオリンが必要だから?


宗像:そうですね。ヴァイオリンはね、必要だと思ったんですよ。前のヴァイオリニストが辞めたので。最初はヴァイオリンがなくてもいいかなとも思ったんですけど。


渡辺:そうなんですか?


宗像:でもね、以前のレパートリーを見ていると、やっぱり(ヴァイオリンが)出てくるんですよね。あの曲やろうか?となっても、あ、でもヴァイオリンがいるなとか。あーこの曲もヴァイオリンかって笑。


渡辺・森:笑


宗像:ただ結局、探そうというよりは、知っているヴァイオリニストで呼びたかった人が二人くらいいて。で、その二人を交互に何回か呼んで一緒に演奏して、僕はSofieがいいなと思って。


森:なるほど。


宗像:で、Sofieとしてはすごく嬉しかったみたいで。彼女すごく若いんですけど、ダルムシュタットで会ったんですよ。2012年にワークショップをやった時に、彼女は学生としていたんですね。だから彼女としては、ダルムシュタットで会ったアンサンブルに入れるんだ、みたいな感じですごい喜ばれて。


森:ふんふん。


宗像:こっちとしては、えー、Curiousなんて全然無名じゃん、全然すごいアンサンブルじゃないのにっていう感じがあったんですけど。面白いですよね笑。