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Showcase Vol.2 Stockholm × Tokyo × Object ~作曲家座談会 3


・  7/3のコンサートで取り上げる二人の曲、作曲に至る発想について 渡辺作品



森:今回のインタビュ―は、7/3のコンサートの広報も兼ねていて、お二人の曲も取り上げるので、その辺の話も聞けたらなと思います。


宗像:裕紀子ちゃんの曲は何をやるんですか?


森:クラリネットと、スチール弦を張ったギターをE-bowで弾くっていうものですよね。


宗像:クラリネットをE-bowで弾くの?笑


森:クラリネットはクラリネットで、アコースティック・ギターにスチール弦を張ったものを、E-bowで弾くという曲ですよね?クラリネットをE-bowで弾くの、めっちゃ面白いですね笑。


宗像:え、なんて説明するんですか、Instrumentationで?クラリネットとギターでいいんじゃないの?どうして?どうして?


渡辺:あ、質問が来ましたね、これ試験?試験かな?怖い笑。


全員:笑


渡辺:いや、タイトルに書いておいたほうが(奏者が)準備するし、E-bow持ってない人は、あ、この曲できないって分かるから。


宗像:あー。じゃあそれ以外は、クラリネットは普通に吹くんですか?


渡辺:そ、そうです。


宗像:スラップ・タンギングとかないんだ?


渡辺:あ、そういうこと。あんまりないかな。重音があるだけです。


宗像:あ、じゃあ、「Piece for clarinet with a multiphonics and guitar with an e-baw」だ。笑 どんな曲ですか?


渡辺:クラリネットの重音と、ギターのE-bowの差音がこう、重なる曲なんですけど。


宗像:差音?


渡辺:差音というか、クラリネットの重音ってそんなに定まらないじゃないですか。楽器によったりするから、


宗像:難しいですよね。


渡辺:そうそう。なんか書ききれないところの面白さ、みたいな。書いても定着しないっていうことが、なんかネガティブに取られることが多いじゃないですか?「ピッチが、、もっとピッチが、」とか。それをもっとポジティブに捉えて、うまくギターの継続的な音とうまく鳴らすって感じですかね。

あとはギターを書くのに、打撃音がないのを聴きたいなと思ってて、じゃあE-bow使おうかなと。


宗像:(無言)


渡辺:あれ?笑


森:笑


渡辺:大丈夫ですか?笑


宗像:いや、大丈夫です笑。ふっふっふっふ。


渡辺:笑


宗像:あれでも、曲のコンセプトって何なんですか?


渡辺:コンセプト笑。コンセプトってなんですか?笑


森:ちなみにとても特徴的なタイトルですよね?


渡辺:あー、でもタイトルは結構後からつけて、最初には全然違うことを考えてたんだけど。まあでも、コンセプトというかアイデアは、重音が不安定だっていうのをどういう風に、綺麗な不安定さをどういう風に出すかってのを考えてたかな。

あと、ストラクチャー的に、順番がこう替わってもいいみたいな感じになってる。


宗像:あー。


渡辺:なんかあの、(セクションごとに)ABCDって書いてあって、そのABCDはフラグメントになってて、AからBに行ってもいいし、BからDに行ってもいい、みたいになってる。で、どう繋がっても浮遊するような時間形式を作ろうってことで、「フラグメント形式」というものをやってた時期です。


宗像:それはパフォーマーがその(実際に演奏する)前に決めるの?それとも、曲中に、演奏してる最中に決めるの?


渡辺:多分、最初に決めてたはずです。


宗像:おーー。聞いてみたい。


森:楽しみですね。


渡辺:ちなみクラリネット奏者の菊池秀夫さん(注1)のCDに入っていて、

もう発売されてます。(https://www.oricon.co.jp/prof/199958/products/1380116/1/

そのCDに入れるっていうことで委嘱があって、それで書いた曲なんですよね。


(注1:菊池秀夫さん、アンサンブルノマドのメンバーでもあるクラリネット奏者のhttps://www.ensemble-nomad.com/プロフィール/メンバー紹介-1/菊地-秀夫/


宗像:おー、すごいね。裕紀子ちゃん日本にパッと帰ってきて、なんかいろんなことやっててね。行動力あるよね?


渡辺:そ、そうかな。


森:行動力、間違いなくありますね。


宗像・渡辺:笑


渡辺:いやいや。でもそうなんです、思ったことをその時やりたいタイプなんで。


宗像:じゃあアイデアは、純、音楽から来てるみたいな?


渡辺:うーん、そうですね。何かパーソナルな何かっていうよりは楽器の不具合っていうか…を、どういう風に扱うかっていうところだったかな。


森:なんであのタイトルにしたんですか?もしかしたら前に聞いたかもだけど。


宗像:タイトルにこだわる笑。


渡辺:えっとね、前に坂田くん(注2)とその話ししてて、坂田くんもその時期におんなじような編成の、クラリネットとピアノの曲かなんか書いていて、それで「月をすくう、、」というようなタイトルで(正確には「月の影を掬う」)、私もちょうど月のなんとかっていうタイトルにしようと思っていたんだけど、坂田くんが、おんなじような編成でおんなじようなタイトルだって聞いて、月は絶対にやめようと思って。

でも浮遊感みたいなものは出したいんだけど、ノスタルジーみたいなものも最近テーマにしていることもあって、それで、浮遊感があってノスタルジックなものってなんだろうと思って、空中ブランコがいいかなと。

なんかちょっとこう寂しげだし。公園とかで、子供たちが遊んだ後に、一人で揺れてるブランコって結構、ノスタルジー…ちょっと怖いかな笑。


(注2:作曲家の坂田直樹さん:https://naokisakata.net)


(渡辺裕紀子さんの「ちょっときいてみたい音楽のはなし」へのリンク。坂田尚樹さんへのインタビュー記事あり https://note.com/yukikocomposer/n/n3a6d82f64fe9


宗像:怖いです笑 だって殺人事件のさ、全て終わってみんな死んじゃってドラマが終わる時に、ブランコがこう、ブラブラーっとなってる感じじゃない?


渡辺:ちょっとサスペンス笑。


宗像:そうそう、サスペンス笑。ふっふっふ。


渡辺:なんかでも、空気抵抗がない感じとかも考えてたかな。ずっと揺れ続けている何か。


宗像:あー、それがコンセプトだ。


渡辺:そうかな。イメージって感じ。


森:あの、「かん(閑)」ってなんなんですか?


渡辺:あれは「ひま(閑)」って読んでて、それで「ひま」っていろんな漢字があって、普通に「暇」って書く感じじゃないなって。なんかあの、門構えのあの感じがいいなって思ってそう付けたんだけど。空気がなくて、揺れているっていう感じかな。


森:じゃあ人がいないみたいな感じなのかな?詩的な感じですね。


渡辺:うん。結構あのタイトルは気に入ってる。


宗像:じゃあ結構曲はなんていうのかな、room、日本語でなんていうのかな、空間を作るみたいな?


渡辺:うん、空間を作る、そうかな。なんか真空空間みたいなイメージはあるんだけど。でもすごい音量がちっちゃいんですよ、実際に聴くと。E-bowの音が全然大きくなくて。そういう感じの曲です。


森:ありがとうございます。


渡辺:笑。試験終わった笑。


宗像・森:笑。