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Showcase Vol.2 Stockholm × Tokyo × Object ~作曲家座談会 4


・  7/3のコンサートで取り上げる二人の曲、作曲に至る発想について 宗像作品


森:あの僕、宗像さんもタイトル面白いと思っていてですね、今回取り上げる予定の「Buckle in the Air」もすごく変わったタイトルじゃないですか?


宗像:そうですね。最近は一言で、タイトルも短めにするんですけど、昔はダラダラと結構長いのを付けてましたね。


森:Buckleってあのバックルですよね?


宗像:Buckleってあの、ベルトのバックル。飛行機の。


森:それはどこから来たんですか?


宗像:さっき、パーソナルなどうのこうのという話をしましたけど、2011年だったかな、この曲。自分では古い曲なんですけど。その時はね、動作とか物理的な動きとかに興味があって。ものが動くとかね。で、真面目な話をすると、その動きはシートベルトをつけるときの動作と、つながったときの抵抗感、そしてバックルを開けるとsnap outみたいな。

その3つの要素をメイン・マテリアルみたいにした曲なんです。


森:ふんふん。


宗像:でも本音を言うと、当時ライアン・エアー(注:イギリスの格安航空会社)に乗ってて、一年くらいスウェーデンとイギリスを行き来してたんですよ、毎週のように。で、ライアン・エアーって朝早いじゃないですか。6時の飛行機とか。


森:安い代わりに早い時間とかありますよね。


宗像:そうそう。でその時にウィスキー飲んでる人とかいて、


森:朝から?


宗像:うんうん。で、それの話ですね笑。


渡辺・森:笑


宗像:だから例えば、曲中でアーモンド食べるとか、


森:あれはおつまみなのか、ウィスキーの。


宗像:そうそうそう。


森:あれはそういうことだったのか…笑。


宗像:あとね、中盤でねチューブを、これ普通はこう回すだけなんですけどね、これを口から「ウエオアウエウエ」って汚らしい声を出すみたいな。


森:それはなんですか、ウィスキー飲みすぎちゃったとか?


宗像:そうそうそうそう笑。


森:朝から笑。


全員:笑


宗像:その時はまだ、結構軽薄なアイデアで曲書いてましたね。


森:ふーん。


宗像:これのアンサンブル・バージョンを裕紀子ちゃんは聴いたんじゃないかな?ダルムシュタットで。空き缶がいっぱいの。


渡辺:あ!あのピアノからガシャーンてやつですか?あれがその曲なんですか?


宗像:その曲のアンサンブル・バージョンというか。全然違う曲なんですけど、でもアイデアは同じなんです。

ピアノに空き缶が200個ぐらい置いてあって、


森:宗像さんのHPを見ると、40~50のビール缶、たくさんの水のボトル、そしてコーンフレークと書いてありますね、パリパリ食べるわけですね笑。


宗像・渡辺:笑


宗像:それはビデオでありますよ。(https://www.youtube.com/watch?v=xTSK-rz1UEE)2011年の曲は、これの原型みたいな曲です。


森:その軽薄っておっしゃってたのは、情景描写じゃないですけど、自分の経験から来たものを作品に反映させるっていうことは、今はやってないんですか?


宗像:いや、それは今でも反映されてます。


森:されている。


宗像:いつも自分の経験から。


森:なるほど。でも朝6時のウィスキーとかではない感じ?


宗像:そうですね、もうちょっとなんというか大事な。


森:子供も生まれたし笑。


宗像:そうそうそうそう笑。


全員:笑


宗像:そのあたり、結構不真面目というか、ユーモアが入っている曲を書く友達が周りにいたのかな。

で、そんなにシリアスな曲書かなくてもいいじゃん、みたいな。


森:なんかその、ユーモアってノルディック的な特徴だったりするんでしょうか?


宗像:そう言いますねえ。


森:あーそうなんだ。僕、前にドナウエッシンゲンで、ノルウェーのTrond Reinholdtsen(http://www.thenorwegianopra.no/trondreinholdtsen.html)の作品を見たんですけど、


宗像・渡辺:あー笑


森:その作風は今でも忘れられないんですけど笑。バカ受けでした、その時みんな。

宗像:本当に?


渡辺:うん、盛り上がってましたよあの時。


宗像:おーん、不思議ですよね。彼ね、すんごい昔はブーレーズみたいな曲を書いてたような。


渡辺:あーでも、それも想像できる。書いてそう笑。


森:なるほど、ユーモア。


宗像:かなり、パフォーマーでもそうですけど、僕、ダルムシュタットとかに行くと、現代音楽専門家が「ワーッ」て怒ったような顔をしてやってる感じがして。特にドイツの現代音楽とかバイオレントな感じのが多いじゃないですか?


渡辺:あーー、そうですよね。


宗像:もう、スフォルツァートかなんかがあるともう「ヘーンッ」って感じで、人殺すみたいな笑。もう弓がぶっ飛んでみたいな、すごい超真面目なタイプ、いますよね。あーいうの(ノルディック諸国では)ないですよね、やっぱりね。


渡辺:音が違いますもんね、全然。


宗像:音、全然違います。だから、もしああいう曲が必要だってなると、Curiousはちょっと難しいですね。


森:なんか僕もドイツにいて、ドイツもユーモアがないわけじゃないと思うんですけど、例えばカーゲルとかを見てもそういう意味でのユーモラスさはあまりないような感じがしますし、変なことをやってる人も、そういった意味でのユーモラスなことはそんなにしないイメージだったんですけど。そういう感じありますか、スカンジナビアから見て?


宗像:まあなんというか、例えば、ドイツのおじさんかおばさんが来て、すごいドイツ式の喋り方してっていうの、なんか違和感ありますよね。


渡辺・森:笑


宗像:やっぱ文化違うんだなって思いますよね。